壁紙の歴史を考えるとき、まず壁装材の起源を語らねばなりません。
壁装材の起源は、人間が一定の住居を構える時代より始まっていたと言われており、古代遺跡の洞窟から、いろいろな絵画のような装飾性のある壁画が発見されていることにより想像されることは、その素材は何であれ、壁を装飾することにより、生活に潤いを求めて生きてきた証と思われます。
壁装材の中でも壁紙の歴史は、生活文化の違いにより、西洋文化・中国文化の2つのルーツをもって分けられます。また、壁紙の技術的観点から 見た場合、紙の製造技術と印刷技術の2つの発展があることは言うまでもありません。
日本の壁紙は、襖紙にその源を見つけることができると言われていますが、明治13年、大蔵省印刷局が「金唐革」と呼ばれる美術壁紙の製造をはじめたのが、日本における本格的な壁紙製造の始まりとされています。しかし、一般にはまだまだ使用されることはなく、その後民間に払下げられてからもヨーロッパなどへの輸出用として扱われました。その後、第一次世界大戦後の世界恐慌を経て、金唐革の輸出もふるわなくなり衰退していきましたが、明治宮殿・赤坂離宮のような宮廷建築に壁装裂地として使用されました。これらの建築は、わが国のその後の文化に大きな影響を与え、国会議事堂や御料車(天皇・皇后両陛下の乗られる列車)にも壁装材として織物が使用され、今日昭和新宮殿の中にある豊明殿にみられる壁装にその面影が見られます。壁紙が今日のように一般建築に盛んに使用されるようになったのは終戦後になってからで、昭和28年〜29年頃(1953年〜1954年頃)が始まりと言われています。
経済の復興に連れて、建築ブームと呼ばれるようになり、盛んに建築が行われました。建築に携わる設計事務所などが、外国の素材を参考にして新しい試みをした製品の中で、麻布や洋服の芯地等を壁に張ることが流行になりました。これは表装業者が原反を仕入れてきて、手で裏打ちをして現場で張っていたものです。その後ヘッシャンクロスの名前で発売され、大阪の北村商店さんが扱ってこれが大流行になり、カーテン生地、ビニルレザー等の生地を張ったり、さらに新しい素材を求めるようになったのです。当時のビニルクロスは、レザーを壁紙として施工していたので、技術的な面で施工が非常に難しいものでした。このように壁装材の需要が増大するにつれ、自家の手張りではとうてい間に合わなくなり、布を機械で効率よく裏打ちする必要が出てきました。織物に紙を裏打ちすることや、紙に寒冷紗を貼った襖紙と同じ方法です。
ビニルにいたっては、織物の壁紙に刺激され、当時は椅子貼り用のレザーの製造を行っていた業者がその設備を利用して、裏に紙を付けて壁紙の業界に進出して今日に至っています。
壁装材の選択について語る場合、壁紙とはインテリアとしてのものなのか、それとも建材としての種類のものなのか、どちらの観点から見るのかによって随分考え方が違うように思われます。
壁紙の歴史から見ると建材としての存在があり、その後トータルインテリアとしての壁紙を語るようになってきたように思われます。したがって、どの観点で壁紙を選択するかは人それぞれによりますが、ここで、壁紙の選択の基準的なものを列記すると次のようになります。
最近は、コーディネイターの資格が確立され、その資格者も多くなり、壁紙もインテリアのエレメントとしてとらえるようになったのは、比較的新しいことです。
壁紙の色の選択の基本は上部に白系や淡い色を使い、下部には低い明度の色を配置することで、これがもっともポピュラーな使用方法です。このようにすると室内が落ち着いて安定した感覚が生まれますので,一般住宅にはよく使用されます。これを上軽下重といい、早くからインテリアの世界では使用されてきました。色相による部屋の感じは次のようになります。
 @赤系統が主な配色の場合
にぎやかな、活動的な感じで北面の部屋に向いています。
 Aベージュ系が主な配色の場合
明るく活発な感じで暖かく落ち着いた雰囲気になります。
 B黄色系統の配色の場合
中性で明るく、爽やかな感じになるので、居間、主寝室、子供部屋に向いています。
 C緑系統の配色の場合
安らぎ感があり、居間、アトリエに向いています。
 D青系が主な配色の場合
冷たい感じになるので、南面の居間、書斎などに向いています。
 E無彩色が主な配色の場合
中性で力強い感じで、男性的な表現ができます。したがって、若々しい感じになり、勉強部屋、
アトリエなどに向いています。
以上のように色相による部屋の感じは、コーディネイトするときの重要な要素です。
使用する部屋の種類により壁紙の種類も違ってきます。例えば、トイレ、洗面のように水を使用する場所にはビニル壁紙を使用します。寝室、応接間などは織物壁紙が適しています。一昔前まで織物壁紙は高級な場所に、ビニル壁紙は安物という感じ方をされましたが、最近はビニルの製造方法が工夫されたこともあり、いたるところに使用されています。
 @業務用?一般家庭用?
  壁紙の種類に業務用と家庭用の分け方はありませんが、業務用としての壁紙にはホテル、旅館などの宴会向きの柄もあります。これを一般住宅の応接間に利用してもかまいませんが、やはり場違いの感じを受けます。このことは色の分類ではなく、柄の選択によるものです。ホテルの宴会場、結婚式場などの場合の柄選択は、やはりきらびやかな柄が中心になり、一般住宅の場合は室内を引き立てるような落ち着いた柄になります。
 A価格別?
  壁紙の種類も現在では10,000点以上あります。価格も¥1,000/m〜¥20,000/m位の価格帯のものが発売されています。
  壁装材の選択においてインテリアエレメントとして選択した場合、価格的格差を付けて選択することはありませんが、建築請負いの材料とした場合、やはり建築予算の関係では価格別の選択が必要になります。
 B壁紙の種類別?
  織物壁紙の特長として通気性、高級感、安らぎ感がありますが、使用する部屋の使用目的に応じて選択します。したがって、ビニル壁紙の場合は水拭きができて汚れが付きにくい性質がありますので廊下、トイレ、洗面、台所などに使用します。
以上のように選択の方法としていろいろな観点から選択できますが、ごく普通に壁紙を選択する方法としては、各メーカーが発行している壁装の見本帳の写真などを参考にする方法もあります。これは、メーカーが製品を開発するにあたり、あらかじめその使用目的を定めて、見本帳の作製時に写真にして表現しているので便利です。
お部屋の色を決める時頭を悩ますのが、壁などの色を決定するときです。どんな雰囲気に持っていくか、誰しも迷った経験があると思います。こんな時力になってくれるのがコーディネイターの方々です。お客様の立場になってよりよいコーディネイトをしてもらえます。明るい感じ・冷たい感じ・モダンな感じ等、壁全面に広がる壁紙は家の色とも言うことができます。それに伴いカーテンの選択、家具の選択等お部屋を創造するのは結構難しいものです。 コーディネイトは現在の住宅には欠かせないものになりました。この機会にもう一度お部屋の「色」を考えてみてはいかがでしょうか?
色による雰囲気の違いをイラストにしてみました。
落ち着いた部屋(壁=灰色ベース) 明るい部屋(壁=黄色ベース)
活動的な部屋(壁=赤色ベース) 高貴な部屋(壁=紫色ベース)
 

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